そこは、ネパール最西部に位置する山岳地帯。
首都カトマンズから飛行機で約1時間の町、ダンガディを経由し、そこからさらに車で約7時間もかかる場所にあります。
標高は約1,000mから3,000mにおよび、見渡す限り険しい山々が連なっています。
そんな場所で、あるお母さんが新生児を診療所へ連れて行くため、ビーチサンダルのまま歩き出しました。
スニーカーを履いた僕でさえ滑りそうになる、岩山の急斜面です。しかし彼女はそこを、まるで平地を行くような早歩きで、スイスイと軽やかに降りていきます。
この地域の人は、本当に強くて逞しく、かっこいい。その姿に、僕は心の底から敬意を抱きました。細身の体の一体どこに、これほど頑丈な筋肉が詰まっているのかと、いつも不思議に思います。特に男性の身体に触れてみると、それが如何に強靭で、頑丈かがすぐにわかります。
機材を壊さないよう必死に撮影しながら、僕は彼女の背中を追いました。
滑り落ちないよう必死についていく僕を尻目に、彼女は新生児を抱えたまま、どこまでも軽やかです。
その足取りは、この峻険な大地で生き抜く「命の強さ」そのものでした。